(1)現地校見学

こちらに移住してから、何度か現地校見学に行っています。
その時の様子や感想、オランダでの教育観など、自分が感じたことを書き綴っていきたいと思います。

まだオランダの教育に関して深い知識がないまま書いていることも多いので、制度についての誤認があるかもしれませんが、移住してきたての知識で書いたものとしてご容赦ください….

今日は朝から自転車を45分漕ぎ、モンテッソーリ教育を行う公立小学校の見学に行ってきました。初めての現地校訪問です!

前日から、モンテッソーリ教育をもう一度さらっとおさらいして臨みました。

学校に着いてから受付の女性に学校見学だと伝えると、
「説明は全部オランダ語だから、あとで質問をすると良いわよ」と言われ。
やっぱそうですよね….泣

前にも記しましたが、オランダの学校には”学区制”というものがありません。
住んでいる地域で学校は決まらないのです。
とはいえ、平均的なオランダの小学校のスケジュールは、
月曜日:朝から15時くらいまで
火曜日:朝から15時くらいまで
水曜日:朝から昼まで
木曜日:朝から15時くらいまで
金曜日:朝から15時くらいまで
教師は17時になったら帰ります。

水曜日は学年問わず昼までなので、学校が遠いとそこそこ大変です。
また、月・火・木・金の昼は家に帰って昼食をとることも可能なところも多々あるそうです。
共働きの親はどうしているの?!という疑問が出ますが、子どもが小学生の家庭に社会の働き方が合わせていく。というのがざっくりとした答えです。

そういったことを考えると、多くの家庭が出来るだけ家の近くの学校を候補に入れて、そこから”より子どもに合った教育を”と、学校を絞っていく気がします。

とにかく、今日の学校は家から遠すぎる…..ので、候補には入っていませんが、
この国の教育や学校の在り方、教員の働き方にはとても興味があるので、
見学に行ってみました。

今日の見学者は約10名。半分以上が男性でした。
なんなら1人で見学に来ている男性もそこそこいました…驚き!
ここはオランダだ!!と感じました。

校長がモンテッソーリの教具を片手に部屋へ入ると、一人ひとりと握手をしてくれました。
とても明るく「ようこそ!うちの学校へ!」という感じです。

最初は”モンテッソーリ教育とはどういうものか”ということを話してくれていたような気がします。←あくまで気がするだけ。
身振り手振りと、英語に似た単語から推測して、
「たぶん今は子どもの発達の話をしているんだな…」という感じでひたすら推測。笑

オランダ人(保護者)は本当によく質問します。
校長はそれにも丁寧に答え、誤った理解には「それは違います」とハッキリ答えているような印象を受けました。
“教育の理念”のようなものがすごく明らかである印象を受けました。

教具の説明では、モンテッソーリ教育でどのようにして数の概念を具体化して学ぶかを説明してくれていました。
私もこれについてはモンテッソーリ教育を学ぶ動画で見たことがあったので、
「本物だー!」という感じで見ていました。

それから教室を見せてもらい、子どもたちの様子を見学させてもらいました。
私としては初めて本場のモンテッソーリ教育の現場を見たのですが、
もうそれは衝撃的でした………………ここ数年1番の衝撃です。
まず、日本のような横並びの教室ではなく、真ん中に円の広場があり、花びらのように各教室がその周囲に広がっています。
真ん中の共有スペースをいろんな学年の生徒が使っていました。

子どもたちはある程度”この辺り”という場所は決められているものの、
思い思いの場所に腰掛け、時には1人で、時には友達と、時にはグループで。
という感じで、決して騒ぐことなく、でも楽しそうに様々なツールを使いながら学んでいました。
ふざけている様子はありません。
「これはどういうこと?」「これはこうするんだよ!」「あぁそうか!」
みたいなやり取りがちらほら聞こえてきます。

おそらく日本人感覚で見ると「今は何の教科の時間なの?」という感じです。

あるクラスでは20人ほど(おそらく全員)が円になってみんなで手遊びをしています。
その隣のクラスでは、グループになって作ったカップケーキを食べていました。笑
その隣のクラスでは、それぞれが自分のタスク(ノート)をこなしています。

校長に許可を取って撮らせてもらった時は、ほぼ全員が外遊びの時間でした。

とにかく、教具の種類が多い…..学ぶためのツールが潤沢にあります。
教具を手にとって、触って、感じて、そうやって子どもたちは学んでいきます。

説明が一通り終わったあと、校長が私のもとに来て、
「さぁ、では改めて話をしようか!」と言ってくれました。

そこから英語で、オランダの教育のこと、モンテッソーリ教育のことを1時間びっしりと話してくれました。
私がまだあまり理解できていない教育制度やシステムのこともホワイトボードを使って丁寧に教えてくださって、「なるほど!!!!」がいっぱいでした。

モンテッソーリ教育はとにかく“子どもが自分で成長する力”を何よりも信じる教育です。
一斉授業は行わず、とにかく教師は生徒一人ひとりをよく観察します。
それぞれの子どもに今何が必要なのか、何が足りていないのか、はたまたどんな能力が卓越しているのか、それをさらに伸ばすには何が必要か、などをよく観察し、「これをやってみたら?」「こっちに変えてみる?」というように声かけをします。

例えば、何歳だからこれが出来るようにならなければいけない。というような能力の引き上げ方は絶対にしません。
逆に言うと、何歳だからここまで。という制限もしません。
出来ることは学年年齢問わず、どんどん先の教材を渡して能力を伸ばしてやります。

「まだこれができないの」とか「これはあなたには難しい」というようなネガティブな発言はしないのが約束だと言っていました。
「この子にこれは難しい」と教師が感じたとしても、それを子どもに言う必要はなく、じゃあもっと噛み砕いた教材をプロの視点から与えてやれば良いだけの話だそうです。
周囲と比較するようなプレッシャーは子どもが自分で成長するための力や、やる気、自分自身を信じるための芽を摘む行為だと言っていました。
人が一人ひとり異なり、性格が違い、育った環境が違うということは、それぞれに出来ることが異なり、能力差があり、必要な教育やアプローチが異なるということ。

「最も大切なのは、子どもたちが「ここに居て良いんだ、居心地が良い」と思える環境があること、安心して学べる場所が学校である。ということです」

この言葉に涙が出そうになりました。

「良い大学に行け」「良い企業に入れ」「たくさんお金を稼げ」
私は高校生を教えながら、どこかでそういったプレッシャーを感じている子どもたちを見てきました。受験を目の前に人間らしさを忘れた生徒をたくさん見てきました。

「好きなことを仕事にしよう」私はあえて授業でそう言い続けました。
きっと受験期の生徒からしてみれば、「そんなことより受験だよ」という感じです。
わかっていました。それでも受験が人生の全てではないと言いたかったのです。
ギャップイヤーがあっても良いじゃない。そう伝えたかったのです。

「好きなことを仕事にしてはいけない」
「好きなことを仕事にすることはわがままだ」
そう言われ続けてきた時代からの脱却がこれからの教育には必要だと感じていました。

好きなことを見つけ、とことんやる。
「オール3、オール4の人生ではなく、何か飛び抜けて出来ること。それは勉強じゃなくても良い。これなら私に任せて!と言えるような”最強の好き”を手に入れるために、色んなことに手を出して、とことん没頭できる何かを見つけると良い」

それは、簡単そうで実は難しいです。
親にとってもそういった状況を忍耐強く見守ることは難しいです。

ただ、やっぱり”好き”という好奇心に勝るものはないと思うのです。
そして、その”最強の好き”を見つけるための居心地の”良い環境と機会”が学校であり、子どもたちにはそういう場所で学んで欲しいと思うのです。

「大人が口出ししなくても、子どもは驚くくらい自分で成長する力を持っています。あとは、近くで見守り、口出しせず、助けが必要だと判断した時に、多すぎず少なすぎない助けを与えてやること。それだけで子どもは自ら気づき、また成長していきます」

どんなけ子どもの力を信じてるんや!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
と、心の中で叫びました。

「教師が心で接すれば、子どもはそれをきちんと感じるんですよ」

この学校では、生徒が教師に対してフィードバックも行うそうです。

「生徒が教師のことについて苦情を言ってきたら、必ずきちんと聞きます。そして、教師と生徒を含め、みんなで話し合います。教師が偉いわけではなく、生徒が偉いわけでもないのだから、同じ人間、話し合えば互いをより理解できるんです」

…………………なんていうか。

もう次元が違いすぎるので、日本と比較のしようがありません。
オランダが良いとか、日本が悪いとか、そういうことではなく、
比較ではなく、ただ単に”異なる”んだと思いました。

今日は本当に、校長の言葉に何度も涙が出そうになりました。
愛があるからです。
彼の中で常に教育が時代に合わせてアップデートされ、古い慣習などにとらわれない教育を追い続けているからです。
教師が専門職であり、学校は全ての人のためだということを実感しました。

何より素晴らしいと思ったのは、校長に情熱があり、
私のようなオランダの教育についてまだよく知らない移民の日本人に対して、
とても熱心に教育を語ってくれたことです。

日本の校長は事務処理や決裁などのペーパーワークに膨大な時間を取られます。
学校内外の会議がたくさんあり、子どもの”今”を見つめるための時間がなかなか捻出できません。
もしそれを優先すれば、やはり残業してペーパーワークをするしかないのです。

「校長の最も大切な仕事は何ですか?」と聞くと、
「そりゃ、子どもたちを見にいくことだよ!!」と当然のように言っていました。

「子どもたちを見て、同時に教師を見て、今どんな教育が行われているかを常に知っておくこと。子どもがいる学校で働く教師や校長にとって、それ以上に大切な仕事ってあるかい?笑」

その笑顔が印象的でした。
そしてその最も重要な職務に専念するために、教育現場を取り巻くあらゆる雑務が排除されているのだろうと感じました。

これが教育に膨大な予算を投じる国の姿か。
これが世界一子どもが幸せな国として認められた国の姿か。

という感じでした。

これからしばらく学校見学が続きます。
回数を重ねるたびに、もっと深くこの国の教育を学べるよう、
質問の質をあげていくのが私の課題です!

(1)現地校見学

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

トップへ戻る